群馬県 富岡製糸場と絹産業遺産群

2014年に近代化遺産として日本で初めて世界遺産に登録された富岡製糸場は、敷地全体が国の史跡に指定されています。群馬県は昔から養蚕が盛んな地域であり、養蚕の技術や生糸の生産量の増大に貢献した施設などが文化財として県内の2市1町に点在、保護されており、これらの文化財も世界遺産のひとつとなっています。

富岡製糸場と密接なつながり持った絹産業遺産群

世界遺産認定名称の中に「絹産業遺産群」という言葉があります。これは富岡製糸場との密接なつながりが証明できる施設を指しています。富岡製糸場と共に世界遺産の認定を受けているのは「田島弥平旧宅」「高山社跡」「荒船風穴」の3箇所で、いずれも「富岡製糸場が進めた蚕の優良品種開発とその普及に重要な役割を果たした」技術もしくは施設として世界遺産を構成する資産となりました。

富岡製糸場に行く前に当時の養蚕業について知る遺産であるこの3箇所はぜひ回りたいところですが、田島弥平旧宅は伊勢崎市、高山社跡は藤岡市、荒船風穴は下仁田町といったようにこれらの遺跡は群馬県の2市1町にわたって点在していますので、どのようなルートで見るかを前もって計画を立てておくとよいでしょう。

どの遺産も駅からバスやタクシーで20分~30分程度の場所に位置しています。公共交通機関を使って移動した場合には1日では全てを見ることは難しいと思われますので、複数回に分けて訪れてゆったりと回ってみてはいかがでしょうか。

実は世界的にも珍しく貴重な歴史的建物

全世界で既に登録されている世界遺産の中にも絹産業と関わりのあるものはあります。しかしそれらは一部に絹生産が関わっているだけであり、富岡製糸場のように絹生産に特化したものではありません。そして19世紀後半の工場が現在まで残っているということは世界的に見ても例がなく、またヨーロッパと日本独自の工法が融合したその建築様式は歴史的に見ても貴重であるといえます。

富岡製糸場の建物を残した3つの理念

富岡製糸場は明治政府が建てた官営工場の中で唯一ほぼ完全な形で残っている工場であり、その敷地内にある主要な建造物はほぼ創業当時の状態で保たれています。製糸場が官営から民営へと移り、1987年にその操業を停止させた後もその姿を保ち続けたのは最後に所有した企業の努力の結果であるといえるでしょう。

2003年まで富岡製糸場の所有者したその企業は製糸場を閉鎖させた後もそれを売ることをせず、また一般に向けての公開も一切行いませんでした。富岡製糸場を「貸さない・売らない・壊さない」という方針を維持し続け、徹底的にその維持と管理に専念したのです。年月と共に建物の老朽化が進み修復工事が必要になったとき、一般の企業であれば極力コストを抑えることを考えます。しかし、この企業はコストよりも当時の工法を用いて復元することにこだわり建築当初の姿を保ち続けました。

徹底した保全管理により今日まで富岡製糸場が良好な保存状態で保たれてきたとして、この企業の管理・運営方針は非常に高く評価されています。

首都圏からのアクセスも良い群馬県は日帰りでの移動も十分可能な地域です。しかし、この「富岡製糸場と絹産業遺産群」はその場所同士が離れているため全てを回るためには複数回の訪問が必要かと思われます。

歴史を感じさせる建物やかつての養蚕業の歴史を堪能した後は、草津や伊香保まで足を伸ばして温泉地で体を休めてみてはいかがでしょうか。

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